外装のキズ・摩耗

外装のキズ・摩耗

お時計を新品の状態で使い続けることは不可能です。
1日使っただけでも何かしらのキズが付きます。
ティッシュで軽く拭いただけでもキズが付くくらいですから。

ここでは外装のキズ・摩耗についてご説明致します。

キズはお客様自身でも十分確認できます。
使っているとどうしても付いてしまうキズ、きれいにしたいですよね。
やはりお時計は見た目のきれいさが大事ですから。
でも、査定に出されるならキズをきれいにする必要はございません。

薄いヘアラインキズのみ。中古としては非常に良い状態です。

エッジも立っておりますので、ポリッシングもされたことが無いのでしょう。この状態ならなんの文句もなくお買取りさせていただきます。

こちらもよく見る状態です。

数年使ったんだろうなといった雰囲気。エッジが若干丸くなっておりますので、1回はメンテナンスの際にポリッシングを行ったのではないでしょうか。

結構使いましたね、という状態。

ロレックスの買取で一番多い状態ではないでしょうか。皆さんガンガン使っておられます。こちらもベゼルのエッジを見る限り、1回はポリッシングされているはずです。

さっきからポリッシングポリッシングと連呼しておりますが、実は査定において非常に重要な項目です。

こちらの画像を見て下さい。デイトジャストなどに採用されているエッジの立ったギザギザが特徴のフルーテッドベゼルというものです。

薄キズこそ付いておりますが、見事なエッジを保っております。

ではこちらはどうでしょう。

同じくキズはありますが、それ以上にエッジの状態。上の画像と比べると明らかに丸くなってしまっています。これはオーバーホールなど修理の際にポリッシング(外装研磨・新品仕上げ)をした結果です。

何も知らない人からすれば、ポリッシングをすれば新品のように輝きを取り戻した状態でまた使うことができるので、一見すると非常に魅力的に感じますが、ポリッシング=研磨、つまりお時計の表面を「全体的に削って」いたのです。言い換えれば、表面をピカピカにするためにお時計全体にキズを付けているのと同じなのです。

キズより深く削らなければキズは消えませんからね。ここ重要。

次は風防。ガラスのことです。

キズはありますかと聞くと、皆さんガラスのことを一番先に伝えてくれます。恐らく時計で一番見る部分ですので、気になるのでしょうね。このように欠けやヒビが入っていたら相当査定が厳しくなるんじゃないかとお思いでしょう。こちらはサファイアクリスタルで作られているため、研磨してきれいにするなんてことはできませんからね。

でも、皆さんが思っているほど査定では気にしません(ごく一部を除いて)。むしろ上記のように時計のミドルケースやブレスレットなどの状態の方が気になります。

こちらは古いモデルに使われているプラスチックの風防。

使っていれば必ずキズは付きます。だってプラスチックですから。しかし、サファイアクリスタルと違ってプラスチック用の研磨剤である程度キズを消すことは可能です。サファイアクリスタルとは違う、どこか温かみのある反射をするため、むしろこちらの風防の方が使っていて愛着が湧くという方もいるくらいです。

こんな状態でも査定時にはそれほど気にしません。

理由は非常にシンプル。こちらは「ブレスレットのヨレ」でも触れたロレックスが発行していた2011年のメンテナンス料金表。

金額を見ていただければ分かるように、外装パーツの中でも交換費用が安いんです。さすがにディープシーなどの分厚いサファイアクリスタルや、ミルガウスの緑色をしたサファイアクリスタルなど特殊なものは結構な金額となりますが、それでもこの程度です。もちろん風防交換のみを依頼すると工賃が別途掛かりますが。

ブレスレットの交換費用を見た後であれば可愛いものです。ただ、2011年時点での交換費用ですので、今では恐らく倍くらいにはなっているんじゃないでしょうか。

最後に一番厄介なキズ。

こちらのお時計、キズもありますがそれ以上に表面がボコボコしていませんか?

これは時計と一緒に金属のブレスレットを着けていらっしゃった方によく見られる状態です。金属同士ぶつかり合い・擦れ合うとこのようになります。

面倒なのがポリッシングをする時。尖ったキズなどは研磨の際に使用するバフが引っ掛かりやすくキズが消えやすいのですが、このように滑らかにボコボコしているようなキズはなかなかきれいに研磨できないのです。研磨の工程が増えるので、通常のキズより厳しい査定となります。

ご理解いただけましたか?

ガラスのキズはそれほど気にしなくても大丈夫です。

どちらかと言えばそれ以外の金属部分の状態を査定ではじっくり見ます。

だってそこが一番査定金額に影響する部分なのですから。

一つ勉強になりましたね。