保証書の様式

保証書の様式

ロレックスは世界中で販売されています、それもかなり昔から。
その間様々な様式の保証書が発行され、
現在発行されている保証書の様式に統一されました。

ここでは保証書の様式についてご説明致します。

日本で販売されたロレックスのお時計にも保証書は必ず発行されます。
ただ、ガラパゴスジャパンと揶揄されるように

日本では日本独自の様式の保証書が存在しました
それらの取り扱いにはちょっとした問題がございまして…

非常によく見ます。買取を行っていると一番よく見る国際保証書です。小さく折りたたまれた紙の国際保証書。

30年近くに渡って使われていた国際保証書ですので、国際保証書と言えばコレといった感じです。一番長く使われていた国際保証書ではないでしょうか。ご丁寧に型番とシリアルナンバーの小さいシールが表面に貼ってあります。年代によって多少異なりますが、どれも同じシールの質感・書体のため、ロレックスから出荷される時点で張り付けられたと考えるのが妥当でしょう。

広げるとこんな感じです。型番やシリアルナンバーがパンチングされております。

アメリカ向けなど、極一部の国際保証書だけ少し仕様が違い、パンチング部分が印字になっており、文字盤の仕様など詳細な情報も記載されております。

上の方に記載されているのが国際保証書の内容、下の方に記載されているのがクロノメーター証明書の内容となっております。文字盤に「SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED」と表記のあるクロノメーターモデルにはこの国際保証書が付属します。

こちらはノンクロノメーターモデルに付属する国際保証書。クロノメーター証明書部分が無いため、3分の1ほど小さくなっております。

余談ですが、当店は法人からの買取がメインのため、査定時によくこんな話になります。「保証書あります?」「えーと、保証書は無いけどギャラはあるよ」「……分かりました」。今後のこともありますのであまり突っ込みませんが、保証書もギャランティもワランティも意味は同じですからね。日本語かフランス語か英語かの違いだけです。

法人間の取引では保証書のことをギャラというのが一般的なのです。

次に長く使われていた国際保証書だとこれになるのでしょうか?Zシリアル辺りから10年近く使われていたと思います。表面に型番やシリアル、国番号のほかにモデル名も入ります。裏面には販売店や購入者・販売日の記載が。

ついにこの年代からプラスチックのカードタイプの国際保証書になり、紙の国際保証書は姿を消しました。

全世界共通の保証書になったのもこの辺りではないでしょうか。

何のことはない国際保証書の表面。ブラックライトを当てると…。

偽造対策もバッチリです(偽造されたの見たことあるけど)。

逆に相当珍しい国際保証書。1966年のもので、販売店はかの有名なブヘラです。こちらも国際保証書兼クロノメーター証明書となります。

まさかこの60年近く後にロレックスによって買収されるとは思いもよらなかったでしょう。

前置きはこのくらいにして、実はここからが本題。

こちらは1980年代から2000年代前半まで発行されていた日本ロレックス発行の保証書。説明の都合上ここになってしまいましたが、保証書としては最初に紹介した国際保証書に次ぐ長い間発行されていました。国内の正規販売店でロレックスを購入するとハガキを渡され、それを日本ロレックス宛に郵送することで後日保証書が届くという仕組みでした。

仕様は国際保証書と似ており、上の方が保証書で下の方がクロノメーター証明書となっております。年代によっては若干仕様が違ったり、保証書とクロノメーター証明書が別紙になっていたり、オーバーホール半額クーポン付きなんていうラッキーなものもありました。

しかし問題となってくるのが……

そう、全部日本語で書かれていることが問題なのです。

かろうじて型番とシリアルナンバーは数字とアルファベットで印字されており、左上には神々しく金文字でGuaranteeと記載がありますが、それ以外は全部日本語。

新品中古問わず、現在日本で流通しているロレックスの大半は海外へ輸出されてしまいます。だって日本で売るより高く売れるんですもん。つまり購入するのは海外の方なのです。その方たちが日本語を読めるかと言ったら…まぁ無理でしょう。海外の方にとってはよく分からない文字が書いてあるただの紙という認識なので、査定時においても保証書としての評価は難しくなります。

保証は日本国内だけですし。ここで「国際保証書」ではなく「保証書」と表記している理由はこれです。さすがガラパゴスジャパン。

ただ、日本語の保証書のすべてがすべて評価できないわけではありません。先に述べた通り、日本で販売され、そして買取されたロレックスの大半は海外へ輸出されますが、残りは国内で販売されます。

販売先の選択肢が狭まるため国際保証書よりは劣りますが、ある程度評価はできます。むしろ日本人が好むモデルの場合は国際保証書より高く評価する場合もございます。

結局は「最後に買うのは誰か」によって保証書の評価が分かれるのです。

ってかこの古い複写式の保証書、東京本社控えがそのまま残っちゃってますが、ちゃんと販売登録されてるんでしょうか?50年前は日本もいろいろとアバウトだったんですね。

最後に一つだけ。

こちらは最新の国際サービス保証書と言われるものです。ちょっと前まではラミネートされた緑色の薄いカードでした。昔は修理保証書などとも言われておりましたが、こちらはあくまで修理に関する保証書のため、保証書としての評価はできません。保証書として評価できるのは、正規販売店でお時計を購入した時にのみ発行される保証書だけです。

ロレックスも保証書と混同されるのを嫌ってか、最新のものはご覧の通りROLEX SERVICE CARDと名称自体が変更になっており、保証書やギャランティという文字はカード自体から無くなりました。これなら間違うこともないでしょう。

ご理解いただけましたか?

世界共通の国際保証書であれば特に問題ありませんが、

その国独自の様式の保証書に関しては評価できるかどうかはケースバイケースになります。

一つ勉強になりましたね。